2025年北海道山スキーツアー

 2025年1月31日(金)~2月4日(火) MO
 北海道山スキーツアーも今年で3回目。例年、小樽をベースに、小樽やニセコ周辺の山々を楽しんできた。今年は、前半は以前から思いのあった十勝周辺まで足を伸ばし、その後小樽に移動する。

白銀荘

 スキーを終えてすぐに体を温められる吹上温泉の白銀荘を定宿に目論んだものの、11月の段階で満室状態。一泊3,000円の旭川市の民泊でしのいだ。

 1月31日(金) 南富良野社満射岳
 1000mを僅かに越える社満射岳。映画「ぽっぽや」の舞台となった幾寅駅の線路を越えて、除雪された道を進むと、数台駐車できるスペースが拡がり助かる。かすかに残るトレースを追い、樹林帯を抜け、1039mのタケノコ山からアップダウンのある社満射岳まで足を伸ばす。

タケノコ山

 タケノコ山東側の尾根

 社満射岳から50m滑り、タケノコ山へ登り返す。タケノコ山の東側に伸びる尾根からオープンバーンの左沢へと滑り込む。新雪の快適な尾根上の滑りから一転、沢に入るとうっすら残る以前のトレースに足をとられ滑りにくい。裏山感覚で楽しめる山だった。

 2月1日(土) 富良野岳ジャイアント尾根
 風は弱く、放射冷却で肌を刺すような冷え切った空気に、露出した耳や頬が痛い。パウダーランドと言われる十勝連峰の西側に位置する富良野岳の一日が始まる。富良野思惟林の駐車場に車を駐車し、車道を100mほど下り、沢へと降りる。北尾根手前の沢には橋がかけられている。

 入山口の渡渉点

 広く緩やかなジャイアント尾根は登りやすい。森林限界を越え、見晴らしを楽しめる運に恵まれた天気のもとで、高度を快調に稼ぐ。無木立の雪面がクラストしてきたので、1600m付近からベベルイ沢源頭の大きくて雪深い斜面を滑り降りる。深雪のターンは気持ちよい。ベベルイ沢源頭を滑って、ジャイアント尾根の右側をトラバースするように滑り降り、途中から踏み固められたトレースを辿った。下りで出会うパーティは欧米系の人ばかり、彼らの出発は遅い。逆に早立ちは日本人パーティが目立つ。


 ベベルイ沢上部の深雪

 2月2日(日) 三段山
 駐車場から見える切り開かれた斜面には、昨日までのトレースが無数に残る。無垢な斜面は期待できないと思いつつ、一番でスタートする。切り開かれた斜面が途切れると、三段山から伸びる通称「ナマコ尾根」に入る。視界が開け、左手に十勝岳の全貌が現れる。荒々しい岩壁の立ち上がる先には、黄色に着色された噴気孔からもうもうと蒸気が吹き上がる。広い尾根の歩きやすい斜面を選んで登っていくと、安政火口へと切れ落ちた尾根に突き当たる。

 ノートラックだった斜面 三段山
 

 頂上からの200mぐらいは固く締まり、その上、少ない雪に時々ハイマツをこするように滑る。廊下と呼ばれる窪状を左に越え、踏まれていない斜面を選んで、1350m付近まで下りを楽しむ。続々と登ってくるスキーヤーとすれ違う。朝一の行動は正解だ。

 三段山の下り

 2月3日(月) 後方羊蹄山比羅夫ルート
 ニセコ近辺に来ると昨年、一昨年に比べて雪の少なさが際立つ。同行のN田さんたっての希望ルートだ。半月湖の駐車場から、平坦地を一旦南に足を向け、953m標高点の北側を目指していくつかの段差を乗り越えていく。953mピークを右手に見ると、背後にニセコアンヌプリのどっしりした山容が鎮座する。

 後方にニセコアンヌプリ
 1000mを越えると風が山肌をなでるように舞い、トレースも所々消えかかる。傾斜が増し、雪面が固くなってきた1200m付近を最終到達点にする。右側の少し窪状になった斜面で、気持ちよくターンを繰り返す。極上ではないものの今回のツアーで一番感触が良かったかもしれない。樹林の中もノートラックの斜面だと気持ちは高まる。あっという間だったが後方羊蹄山を楽しめた。

 比羅夫ルートの下り始め

 今回初めてゴーグルを着用した。山屋がゴーグルを装着するのはブリザード時だけという凝り固まった思いが拭えず、購入したもののザックに忍ばせ数年は使ってこなかった。今のゴーグルは雪面の凹凸もはっきり視認でき、優れものとの話を聞き、今更ながらではあるが、日の目を見なかったゴーグルを今回初めて使い、その威力を体感した。
 小樽へ戻る道すがら、ラーメン屋の赤いノボリ旗の時給1,600円に釘付けになる。円安からの一層のインバウンド増加により、ニセコバブルでラーメンが2,000円を超える物価高騰とともに、人手不足が深刻になったことによる時給単価の上昇も凄まじいようだ。

 2月4日(火) ワイスホルン
 気温0度を超える共和町の雨は、標高を上げるに従い雪に変わる。五色温泉へ抜ける道道倶知安ニセコ線の除雪終了点に車を止め、ひたすら傾斜の緩い尾根を登る。800mを越えると森林限界を越え、強風が吹きつける斜面に変わる。雪面は固く、風も強まる。900mを最高到達点にした。余り快適とは言えない雪質だった。


 下山し、小樽へ戻る途中に入ったメールを見て、あたふたしてしまう。翌日乗船予定のフェリーが欠航する知らせだった。間に合うか瀬戸際だった本日分のフェリーに電話で急遽変更し、荷物を大急ぎまとめ、苫小牧港に向かった。高速道路は悪天の影響は受けず、薄氷を踏む思いで乗船に間に合う。